『月がきれい』第12話 感想と総評 昔、中学生だった大人が観るべき作品!アニメ史に残る傑作です

タチバナです最終回です!

中学生の青春を描くTVアニメ「月がきれい12話を視聴しました。
ネタバレあり感想総評を書いていますので、まだ未視聴の方は注意してください。

心が浄化される美しいアニメが終わりを告げてしまった。
だけど最後のあの幸せで夢いっぱいなストーリーを見ると、喪失感ではなく幸福感で胸がいっぱいになった。
その後どうなったかを描いたことによって、不思議と余韻がなくて爽快感というか清涼感がある。

この温かいアニメらしい終わり方だったと思うし、最後まで徹底的に幸せを感じさせてくれた演出には感謝したい。

こんなにも純粋で素朴なリアルの恋愛物語を描いたアニメって過去にあっただろうか。
アニメ史に残る傑作だと思うし、これから恋愛アニメを語る上で必ず名前の挙がる作品になったと思う。

12話あらすじ
茜の引越しが近づく。進路は決まったものの、遠距離恋愛の不安が二人に圧し掛かる。茜は引越し荷物に涙を刻み、小太郎は想いを文章に綴る。卒業式翌日、引越し前の最後のデート。同じはずの二人の想いはすれ違い――。

前回の記事はこちら

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目次

月がきれい 12話「それから」感想


小太郎さん案の定第一志望不合格。これまで成績が悪いと散々描いてたし、上がった描写もなかったので予測通りでどこまでもリアル。
哀愁ある夕日の中での2人のベンチシーンはとても切なかった。

そこからの茜ちゃんと姉のやり取りが凄い好き。
声が素のトーンになる茜ちゃんが可愛いし、対照的な淡白な姉も飾り気がなくて面白い。
もっと2人の絡みが見たかったなぁと思える。

そして満を持して登場した千夏ちゃんですよ。
千夏ちゃんの告白にね、グッときてしまった自分がめちゃくちゃ悔しい
これまで散々罵倒してきましたが、「ちゃんと言わないと」と真っ直ぐ凛とした姿で見つめる千夏ちゃんに心が揺らがないわけがなかった。

人への愛を簡単に諦めきれないという決意をもって、その初心を貫いてくる純粋さ。
ニコっとして告白するシーン、「言えてよかった」といって笑う千夏ちゃんに心打たれましたよ・・・。
最後にしてタチバナは千夏ちゃんを許すことができました。許すというか、自分の器の小ささが浮き彫りになったようで悲しくなりました。彼女たちは中学生なんですよね。
中学生の可愛い些細な行動にオッサンの自分が一体なにを怒っていたんだろう。そんなことまで気づかせてくれる、月がきれいの演出の懐の深さに感服です

教室の卒業風景で、クラスのみんなからすっかり公認の仲になっていてほっこり。
比良君も爽やかに出番があって、彼の境遇を考えるとツライけど明るい表情で安心しました。
色々あったけど、出てくる子みんながいい子で嫌悪感や不快感が一切なく見れる素敵なアニメでした

そんな素敵アニメの中でも一番のいい子茜ちゃんが、胸の内を告白するシーンがこれまたドキドキと酸っぱかったです。
最後は甘さだけでいくのかなと思ってたら、しっかり酸っぱさでバランスをとって”甘酸っぱい”が演出されていました。

告白されたことをなんで言ってくれなかったのと突っ込んでくるとは思わなかった。
でもこれは一つのきっかけで、小太郎さんに負担かけて迷惑ばかりかけるのがツライってことが言いたかったんですかね。
どうしたらいいの?って言われても中学生の男の子じゃ意味わかんないだろうなぁ。

好きだからこそ、負担をかけたくない、対等でいたいっていう気持ち。
それがどうしたらいいかわからない中学生のリアル。ピュアすぎてもどかしい

13.70


この13.70というのは茜ちゃんが最後の大会で出した自己ベストタイム。
小説のタイトルの付け方がめちゃくちゃオシャレ。小太郎さんにセンスを感じずにはいられない。

というかこれを読まれても全然平気な小太郎さんが凄い。

この先はどうなるんですかって茜ちゃんがコメントしてるのも凄い。
小説を書いてる少年という設定を全力で活かしてきたここからのシーンは素晴らしかったと思う。

小太郎
太宰が言ってた。
怒涛に飛び込む思いで愛の言葉を叫ぶところに、愛情の実体があるのだ。

この言葉のあとに続くのが、「黙って居られるのは、結局、愛情が薄いからだ」
太宰治の「新ハムレット」からの言葉のようでした(調べました。

まさに今回の小太郎さんの気持ちでしたね。
最後の最後でLINEを見て否定したところは胸にくるものがあった。
メッセージ性のつまったカッコイイシーンだったと思う

そこで流れるエンディングテーマ曲「月がきれい」の破壊力。
小説の続きを読んで、小太郎の自分に対する想いが綴られていて茜ちゃんが涙を流すシーン。
綺麗な夕日の中、茜ちゃんに愛を伝えたくて「大好きだ」と叫ぶシーン。
ドラマティックな美しすぎるシーンに感極まってこっちまで泣けました。

直接的には伝えられなかったけど、自分の書いた小説で茜への想いを伝えるところに小太郎らしさが出ていて、これまでのストーリーをなぞった演出がされていたと思う。

それから

付き合ったキャラのその後を描いてくれるなんて新鮮な感じがしました。
最後まで純愛というのを貫きたかったという想いですかね。月がきれいらしくてやっぱり良かったと思う。

クリックで画像を拡大表示できます。

小説家にはなれなかった感じなのかな。どこまでもリアル。
最後赤ちゃんの隣にべにっぽがいて感慨深かったです。本当にいい物語でした。





月がきれい 総評

個人的には今期最高の作品でした。
それどころか、近年稀に見る傑作だったと思う。

このアニメに対象年齢を付けるとしたら、「昔、中学生だった大人」という感じでしょうか。
どこまでもリアルを追求した作品で、ファンタジー一切抜きの日常が本当に淡々と描かれていた。
些細な中学生の日常を描いているだけなのに、徹底的にリアルに丁寧に描くことでそれがドラマになって魅力溢れる作品になっていたように思います。

そしてその日常に”恋模様”が合わさることにより、甘酸っぱさが追加されたまらないものがあった。
少し会話をするだけなのに緊張したり、不安になったり、それらが心理描写一切なしに、顔の表情や仕草、声優さんの演技、演出や空気感で全て表現されていた。
心理描写を描かないので、「どう思ったんだろう、どう感じたんだろう、どんな気分なんだろう」っていうのを自分の感情を重ねてみたりして楽しむこともできた。
なんというか、遥か昔に忘れてしまった心の機微を思い出すかのような感覚があって、それが物凄く心地よかった。

だからこそ、感慨に耽りながら見ることができて感受性にダイレクトに響いてくる。
この作品を見てて、自分も”こんなことがあったなぁ”とか何処か甘酸っぱい懐かしい気分に浸れる作品でした。

その当時はそれが幸せなことだと気づかなかったけど、今になるとそれが幸せなことだったんだと気づかせてくれるアニメ。
何の変哲もない素朴な恋愛物語でそこまで感じさせてくれたんだから、ただただ凄いなと振り返ってみて改めて思いました。

作画も作風とマッチした柔らかなタッチで温かさを感じられるようになっていた。
たまに入るCGが残念だったけど、気にならない場面で使われたりしていたので言及はしない。

印象的なカットも多くて、照明の紐でシャドーボクシングしたり、ふとしたクツ置き場のカットだったり、べにっぽをむにむにするシーンだったり、日常描写は派手さがない分、見せ方は本当に大切だと思うし、そういった細かい些細な演出が秀逸だったと思う。

合わせて声を大にして言いたいのが、声優さんの演技が本当に良かった。
抑揚を控えめにした声の演技は、細かい息遣いとか、ホントに息だけで表現するところがあったりとかなり繊細で難しかったと思う。
それを丁寧に仕草や表情に合わせて声当てをされていたと感じるし、本当にこの作品にはなくてはならないリアルさがあったと感じる。
気になって記事にしたくらい(→「月がきれい」の声優さんが気になったので調べてみた。)だったし、茜ちゃん役の小原好美さんのファンになった。
来期の魔法陣グルグルでもメインキャラクターを担当されるようなので楽しみにしてる。

そして忘れてはならないのがこのアニメを引き立たせた音楽の力。
大人なら誰もが知っているような名曲を、東山奈央さんの透明感のある歌声でカバーした数々の楽曲は、恐ろしいくらいその時その時にマッチしていてたまらない演出だった。
挿入歌以外のBGMも、さすが天才ピアニストの伊賀拓郎さんを音楽担当に起用しているだけあって素晴らしかったと思う。
情感たっぷりなピアノとストリングスの柔らかく奏でられる心地いいBGMは、このアニメをより質の高い作品にしてくれていた。

書いていて恥ずかしいくらいべた褒めだけど、大人向けの作品としてこれほどクオリティの高いアニメは最近なかったのではないだろうか。
このアニメのタイトルである「月がきれい」は夏目漱石による”I Love you”の訳語でもある。
そんな想いも込められている詩的なタイトルなのも素敵すぎる。

サブタイトルもそうだけど、純文学をオマージュしたような作りになっている日本の作品らしい美しいアニメでした。
そんな作品を生み出した岸誠二監督の才能には脱帽です。

素晴らしいアニメをありがとう。

以上、「月がきれい 12話 感想と総評」でした。

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6件のコメント

川越行きたくなった。 本当に大好きな作品でした村下孝蔵さんの初恋が流れているときのあかねちゃんの為にお参りしてる安曇君を見てすごくいい子だから頑張ってくれて本当によかった

自分も恋愛ドラマの書き込みに投稿して好きな子の思いの丈を書いてメッセージが載ったときは嬉しくて好きな子に見せたことがある(好きだという事がばれてしまったw)
結婚は出来なかったけど淡い恋心を思い出させてくれたアニメになりました

スタッフや声優さんを初め関わってくれた人に本当に大切な時間をありがとうございますと言いたい

しっかり感情移入できたり、自分と重なる部分がどこかしらあったりと、感慨に耽る作品でしたよね。

そんなドラマ性のある青春羨ましいです笑
もし結婚していたらアニメ化決定してたところでした。

なんか知らないけど、見終わったあと制作陣に感謝したくなる素晴らしいアニメでした!

自分も一話からずっと見ていました。久しぶりに新鮮な、そして自然で純粋な中学生の恋愛を上手く描いてくれたと思っております。

ほぼタチバナ様と感想は一緒です・・ポイントはやはり友達や親ですかね。特にそれぞれの友人、ろまんや千夏ちゃんの存在は大きかったですね。

特に、ろまんは最後に二人の気持ちを繋ぎ留める小太郎の小説のネットへのUPをアドバイスしてますしね。ろまんは小太郎が好きで、ただ読みたいだけかも知れないけれど実は凄く友人って大切なんだなって。頑張って告白した千夏も自分は好きかな。度胸あるし、でも茜には嫌われたくない気持ちが良く解る。茜も千夏とは友達でいたいみたいな所も。

そして、ヤッパリあの小説なのかな。小太郎が茜に対する自分の気持ちをハッキリと伝えられたのは。LINEではなく、小説。そして、題名が良かった。この最後の部分は作者様が狙っていた一番なんだと思います。最後の一枚のイラストも凄く良かったですね。久しぶりに良いアニメです。

恋愛模様だけでなく、しっかりと友情や家族の愛にも踏み込んでくれていて良かったですよね。
それらが全部活かされる最終回だったと思うし、仰る通り、最後の家族集合した1枚の写真はこみ上げるものがありましたよね。
小説を題材にした意味もしっかりあったし、狙っていたことができた最後だったと本当にそう思います。

最後の1コマ。小太郎・茜・赤ちゃん。
ここにも川越氷川らしい1シーンが隠されているのが最高でした。
結い紐と赤ちゃん結い紐。
http://www.kawagoehikawa.jp/#/yuihimo/

赤い「結い紐」を夫婦の左手小指に結びぶという、川越氷川神社独特のものです。
そして、赤ちゃん結い紐は、川越氷川神社で結ばれた夫婦の間に、赤ちゃんを授かったときに頂けるものです。

URLじっくり読ませて頂きました。
「結い紐の儀」こんなに美しい裏話があったなんて・・・!
知っている人だけにわかるニクイ演出・・・最高だ・・・。
色んな深い意味があった舞台設定だったんですね。地元の人にはたまらないだろうなぁ。

そしてそれを教えてもらえるタチバナも幸せです。改めて温かい気持ちになりました。
教えていただきありがとうございます!感謝ー!

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