色々なコミュニケーションの形を描いた傑作アニメ『聲の形』

どうもタチバナです。

今回ご紹介するのは、2016年9月に公開された山田尚子監督による長編アニメーション映画「聲の形(こえのかたち)」です。

京都アニメーションが制作を手掛け、公開館数は120館と小規模ながら累計動員177万人を突破し、興行収入は23億円を達成した京アニ制作映画の中でも歴代No1の興収・動員数となった作品です。
原作は、大今良時さんによる「週刊少年マガジン」で連載されていた同名の全7巻の漫画になります。

社会派学園漫画というジャンルらしいメッセージ性がこめられた内容になっていますので、色んな人にぜひ見てもらいたいアニメになっています。

目次

聲の形ってどんなアニメ?

「君に生きるのを手伝ってほしい」

“退屈すること”を何よりも嫌う少年、石田将也。
ガキ大将だった小学生の彼は、転校生の少女、西宮硝子へと無邪気な好奇心を持つ。
彼女が来たことを期に、少年は退屈から解放された日々を手に入れた。
しかし、硝子とのある出来事がきっかけで将也は周囲から孤立してしまう。

やがて五年の時を経て、別々の場所で高校生へと成長したふたり。
“ある出来事”以来、固く心を閉ざしていた将也は硝子の元を訪れる。
これはひとりの少年が、少女を、周りの人たちを、そして自分を受け入れようとする物語――。(引用:聲の形アニメ公式サイト

本作は、主人公の石田将也と先天性の聴覚障害を持つ西宮硝子を中心に、人と人との繋がりやディスコミュニケーションを描いた約130分の映画作品になっています。

原作は、社会派学園漫画というジャンル付けをされていて、聴覚に障害を持った女性に対するイジメが描かれていたりと際どい部分があったり、メッセージ性がこめられた内容ということで大きな注目を浴びました。

可愛らしいキャラクターとは裏腹に扱われているテーマや起きている事象は残酷そのもので、見るのが辛いシーンもたしかにある作品です。それを幾分か、綺麗な映像と心地よい音楽でマイルドにされていました。なので、原作と比べると見やすい内容になっていると思います。

キャラクター&声優紹介

石田将也(いしだ しょうや)


主人公。小学生時代は粗暴なガキ大将で耳の聞こえない硝子をいじめていた。それが原因で今度は自分がいじめられるようになるが、途中自分の行いを反省し、硝子への罪の償いをしようと決心する。母親、姉、姉の娘マリアとの4人暮らし。

CV:入野自由
2001年公開の「千と千尋の神隠し」のハク役で、一気に知名度が上昇した子役出身の男性声優。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の宿海仁太約や、「ハイキュー!!」の菅原孝支約、「男子高校生の日常」のタダクニ役、「終わりのセラフ」の百夜優一郎役などがある。

西宮硝子(にしみや しょうこ)


ヒロイン。先天性聴覚障害を持つ聾の少女。小学校の途中までは普通校の通常学級へ通うが、そこで将也やクラスメイトからいじめにあう。その後、特別支援学校に通うが、高校生のときに将也と再会を果たす。祖母、母親、妹(結絃)との4人暮らし。

CV:早見沙織
歌唱力に定評があり、アニソンやキャラソンやなど個人名義の歌手活動をすることの多い女性声優。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の鶴見知利子役や、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の雪ノ下雪乃役、「魔法科高校の劣等」の司波深雪役、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」のココロ役などがある。

西宮結絃(にしみや ゆづる)


硝子の妹、中学生。大好きな姉のことを守るために、周囲には強くふるまっている。そのため、少年のような外見で自分のことを「オレ」と呼ぶようになった。

CV:悠木碧
明るく元気な性格から、クール系・不思議系まで幅広い役を演じている女性声優。「魔法少女まどか☆マギカ」の鹿目まどか役や、「戦姫絶唱シンフォギア」の立花響役、「僕だけがいない街」の雛月加代役、「幼女戦記」のターニャ・デグレチャフ役などがある。

永束友宏(ながつか ともひろ)


高校での将也のクラスメイトで、初めてできた友だち。マイペースな性格。モコモコ頭とぽっちゃり体型のユーモラスな佇まいで、将也を「やーしょー」と呼び、いつも行動を共にする。

CV:小野賢章
「ハリー・ポッター」のダニエル・ラドクリフの吹き替えでお馴染みの男性声優。「黒子のバスケ」の黒子テツヤ役や、「アルドノア・ゼロ」のスレイン・トロイヤード役、「終わりのセラフ」の百夜ミカエラ役、「神撃のバハムート VIRGIN SOUL」のアレサンド役などがある。


魅力や見所

衝撃的なストーリー

聴覚障害やいじめを扱った、なかなかアニメでは見ないような内容です。だからこそ衝撃的で多くの視聴者の心を動かす作品になっています。

そして、描きたいのはそれらを通して見えてくるキャラクター同士のコミュニケーションの部分です。文字や手話を通さなければ意思疎通ができない硝子や、上手く人との距離感がつかめない将也など、キャラクターそれぞれのディスコミュニケーションが描かれていて、お互いのわだかまりやエゴ、本音を直接相手にぶつけ合う様は中々の見応えと考えさせられるものがありました。

それぞれが一歩を踏み出し、他者とのコミュニケーションを紡いでいく。難しい題材を用いて、一歩踏み出すことの大事さと難しさを教えてくれる作品でした。

作画、映像表現

本作を手掛けたのは、「けいおん!」「たまこラブストーリー」の監督を務め、若いながら着実にステップアップしてきた山田尚子監督です。

その作画は主要キャラからモブキャラまで、さすが京アニと言える非常に高いクオリティだったと思います。
キャラの細かい仕草や光の演出、実写のような映像を意識したカメラワークなどは、キャラクターの心情を細かく拾っていく本作と抜群にマッチしていて、グッと作品に没入できるような画面づくりになっていました。

ちょっとした動きにもキャラの魅力が詰まっていて、ワンシーンも見逃せないレベルです。

声優・早見沙織さんの神演技

生まれつき耳が聞こえない聴覚障害者特有の発音や声にならない言葉などを、リアリティとアニメとしての表現のバランスを保ちながら見事に演じきっておられました。

通常の演技ではない分、はるかに難しいことへの挑戦だったようですが、迫真の演技で感動を余すことなく伝えることに成功していたと思います。

アフレコに立ち会った原作者の大今良時氏も、「早見さんの演じる硝子の声を聞くたびに感じる緊張感、それはまさに本当の聴覚障害者の方の声を聞く時に感じる緊張感でした。ものすごくリアル。」と絶賛されていました。

補聴器で拾う音

本作の大きな魅力となっているのは、ソロユニット「agraph」で電子音楽家として活動する牛尾憲輔さんによる美しい音楽です。山田監督とじっくり話し合い、世界観を共有する中で作り込まれた楽曲群は、アニメにぴったり寄り添う素晴らしい出来です。

さらに、一部の楽曲は“補聴器をつけている人が聞く音”を意識した効果音や音楽になっているんです。補聴器は構造上、人間の声だけでなく、どうしてもそのほかの音(雑音)も増幅して拾ってしまうそうですが、そういった補聴器の特徴に注目して雑音を含んだ音が収録されているんです。

補聴器をつけている人が聞いている音を実感できる凄い作りになっているのです。

「聲の形」を見るには


動画配信サービスを利用するのがおすすめです。

dアニメストア
Amazonプライム
Netflix
Hulu
U-NEXT

(※2018年7月15日現在の情報です。)

まとめ

いじめの話と聞いて、嫌悪感や拒否感を示す人もたくさんいると思います。
たしかに絵からは想像がつかないような、いろいろと辛い問題をリアルに描かれていてキツイものがありますが、“後ろ向き”な感情があるからこその美しい感動があり、前向きになれるメッセージを受け取ることができると思います。

そして、アニメ作品としてハイレベルなクオリティであることは間違いありません。色んな人にぜひ見てもらいたい作品です。

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